駒が笑う手を目指して

プロの棋譜をもとにちょっと考えたもの

三浦弘行 九段 vs. 藤井 猛 九段 第3期叡王戦段位別予選九段戦

第3期叡王戦段位別予選九段戦

三浦弘行 九段 vs. 藤井 猛 九段 

楽しみな一戦です。見どころは、藤井九段の捌きが三浦九段に対してどうか、というところだとおもっていたのですが・・・。

 

まずは下図。後手はどう指したでしょうか?(3段以上)

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正解は△4四銀。

何でもない銀引きですが、ついつい、△6六銀とやってみたくもなりますよね。

でも、それではなかなか攻めにならないのでしょう。

 

続いて下図。ここから、藤井九段は戦機をつかむのです(プロレベル)

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正解は△9四歩!▲同歩△同銀

桂をとるしか思いつかない局面で、藤井九段は端を逆襲することを考えました。

すごいアイディアですね。

 

続いて下図。いい手があります(3段レベル)

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正解は△8四桂(下図)。

当然の一手なのかもしれませんが、まさに後手の銀が追われている一瞬をついた、いい手ですよね。

 

さて、その桂馬を打たれた下図で、逆に先手はどう指したでしょうか(プロレベル)。

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正解は▲9三角!

何としても橋の主導権を握ろうとする一手です。

もしかしたら少し先手が苦しいのかもしれませんが、それにしてもすごい迫力です。

 

さて、ようやく私にも、後手が優勢らしいことがわかってきた下図。

後手の藤井九段は、どう攻めたでしょうか。3手考えてください(5段以上)

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正解は△3九角▲3八飛車△4八金!

この重さ!

いかにも藤井九段です。しかし、よく見ると先手玉の左からは馬と香が迫っているので、右側からとにかく攻めるのは、理に適っているのですね。

この後は、波乱なく、藤井九段が押し切りました。

一瞬の戦機をつかんだ藤井九段の力が印象的でした。